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バストにバッグを挿入するバッグプロテーゼ挿入法の後遺症の一つに「カプセル拘縮」があります。
「以前は問題なかったのに、徐々に触り心地が硬くなった」「右と左で硬さが違う」など、術後しばらくしてから、その症状が現れます。
プロテーゼ挿入法を受けた「10人に1人」に起こると言われており、豊胸バッグ抜去の理由の多くを占めています。
この記事の目次
カプセル拘縮の原因
豊胸バッグは身体にとって異物の存在です。
バッグを挿入すると、体内で「異物反応」が起こり、バッグの周囲に「カプセル」と呼ばれるコラーゲン繊維で出来た被膜を作ります。
被膜を作ることで、異物による悪影響を受けないようにします。
これ自体は、正常な身体の反応で、薄くて良質な被膜であれば特に問題はありません。
ただし拒絶反応が強ければ強いほど、被膜が分厚くなり、バッグを強く締め付けるようになると、バッグが変形したり、胸の触り心地が硬くなってしまいます。
これを「カプセル拘縮」と呼びます。
両胸に起こる場合と片胸だけに起こる場合とあり、人によって現れ方は様々です。
血腫が起きた
施術の際、ドレーン(排液管)を使用しなかったり、止血や圧迫が不十分だったりすると、血腫が起こりやすくなります。
豊胸バッグと皮膚の間に血が溜まることで炎症や感染症が起こると、被膜が分厚くなりやすく、カプセル拘縮の発生率を高めます。
予防方法
「異物を取り囲むように被膜を作る」のは、身体の正常な反応なので、誰でも少なからずカプセル拘縮は起こる可能性があります。
では、どうすれば、カプセル拘縮を予防できるのでしょうか?
バッグの種類を考える
豊胸バッグには、表面がつるつるの「スムースタイプ」と、ザラザラの「テクスチャードタイプ」の2種類あります。
現在、主流のテクスチャードタイプは、カプセル拘縮が起こりにくいと言われています。
ただしスムースタイプよりも固めで、バスト内で動きにくい性質上「カプセル拘縮が起きているのか分かりにくい」という見方もできます。
一方のスムースタイプは表面がつるつるしている為、摩擦が起こりにくく、被膜が分厚くなりにくいというメリットがあります。
実際に使用する豊胸バッグのタイプの選び方は、カプセル拘縮の起こりやすさを踏まえながら、自分に合ったものを担当医と良く話し合うことが大切です。
大胸筋下に豊胸バッグを挿入する
バッグプロテーゼが挿入される部位には「大胸筋下」「(大胸)筋膜下」「乳腺下」があります。
その中で「筋膜下」や「乳腺下」は位置上、どうしてもカプセル拘縮が起きた時、変形上歌いがバスト表面に現れやすいです。
大胸筋(胸の筋肉)の下に挿入する「大胸筋下」は、胸の深い部分にバッグが挿入される為、カプセル拘縮が起きても分かりにくく、見た目や触り心地で「バレる」という心配が少なくなります。
詳しくは:豊胸バッグを入れる位置(大胸筋下、筋膜下、乳腺下)で何が変わる?
カプセル拘縮防止薬を服用する
痛みや炎症、トラブル防止の為、術後に飲み薬や塗り薬が処方されます。
バッグプロテーゼ挿入法で施術を受けた場合、カプセル拘縮を防ぐ「カプセル拘縮防止薬」が処方されることがあります。vitamin E(ユベラ)やアコレートなど。
使用した豊胸バッグや術後の経過などで、必要・不要は異なりますが、心配な人は「カプセル拘縮防止薬は処方されるのか?」を担当医に聞くことをおすすめします。
マッサージをする
バッグプロテーゼ挿入法では「カプセル拘縮や術後の痛み、違和感の緩和、胸の柔らかさを取り戻す」などを目的としたマッサージは欠かせません。
美容クリニックによっては、高周波マッサージによるマッサージが受けられる所もあります。
テクスチャードタイプのバッグは「マッサージが不要」と言われます。
これはマッサージをすると、表面のザラザラがバスト内部を傷付けて、被膜を厚くする可能性がある為です。
ただし胸を一切動かさないと、バッグが動くスペースが限定されて、カプセル拘縮が起こった後、動かない硬い胸になってしまいます。
クリニックでは「テクスチャードタイプでも無理なくできるマッサージ方法」を教えてもらえると思うので、できるだけ毎日欠かさずマッサージを行ないます。
治療法
カプセル拘縮の診断基準には「Bakerの被膜拘縮分類」という分類法が利用されています。
【Grade 1】
バストは柔らかく、異物(バッグ)の感触がほとんどない自然な状態。
【Grade 2】
良く触れるとバッグが分かるが、バスト自体はかなり柔らかい。
【Grade 3】
外見上は問題ないが、触れるとバッグがはっきり確認でき、硬さがある。
【Grade 4】
拘縮がはっきりして、見た目にも異常感があり、テニスボールのように変形する。
グレード1~2であれば特に問題はありませんが、グレード3~4まで進行してしまうと、かなり気になる程度なので治療を受けた方が良いです。
カプセル拘縮は放置すれば改善する訳ではなく、根本的な治療には「バッグ抜去」または「新しい豊胸バッグに入れ替える」と、一度、胸から豊胸バッグを取り出す必要があります。
以前は被膜を切除して取り除く「被膜拘縮解除術」も用いられていましたが、身体の負担が大きく、大出血が起こる可能性もあるので、現在はあまり利用されていません。
バッグさえ抜去できれば、体内に被膜が残っていても、自然と体内に吸収されるので、特に心配する必要はないです。
豊胸バッグを抜去すると、以前よりも胸が「そげた感じ」になるので、膨らみあるバストを作る為、抜去と同時に豊胸を行なうのが一般的です。
もう一度、バッグプロテーゼ挿入法をしても良いのですが、再びカプセル拘縮が起こる可能性も否定できません。
その為「硬い胸になりたくない」という人は、脂肪注入法を選ぶことをおすすめします。
バッグ除去のみ20~50万円
気になる費用は「抜去のみ」で20~50万円。
「抜去+他の施術法」だと、その合計費用がかかります。
基本的に美容クリニックで施術を受けますが、総合病院や大学病院の形成外科で抜去を行なう人も少なくありません。
ちなみにカプセル拘縮が起こり「異物除去」扱いになれば、健康保険が適応されることもあります。
最後に
美容クリニックによっては「保障制度」として、アフターケアや超音波マッサージ、カプセル拘縮時のバッグ取り出しを無料で対応している所もあります(例:品川美容外科)。
数ある豊胸術の中で、最も身体への負担が大きいバッグプロテーゼ挿入法で豊胸する場合、各クリニックの「アフターケアや保障」も確認することで、より失敗がないバストアップができると思います。
また抜去や再豊胸を受ける際は、前回、豊胸を担当した同じ医師やクリニックで受けるのが無難だと思います。
ただし何らかの事情があり「前回と同じ所で受けるのが難しい……」という場合は、複数のクリニックや病院でカウンセリングを受けて、最も安心して受けられる所を選んでみて下さい。