よくある質問

豊胸手術でがんになる?乳がんとは異なる「ALCL」のリスクについて考える

※記事内に広告を含む場合があります

当サイトは更新を終了しました。
長きにわたり当サイトを愛読、応援くださった方々には誠に感謝しております。

※この記事の内容は執筆時点のものです。サービス内容・料金など、現時点の最新情報とは異なる場合がございます。何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。

豊胸手術とALCL

「豊胸手術は乳がんのリスクを高める」という話があります。

これは豊胸手術を行なうことで、乳がん検診を受けにくくなったり、胸に生じたしこりが乳がんと豊胸手術のどちらを原因とするのか分からず発見が遅れたりすることが理由に挙げられます。

一方、あまり知られていないことですが、実は豊胸手術を受けることで、乳がんとは異なる血液のがん「ALCL」を発症する可能性があります。

世界的にもかなり珍しいケースなのですが、豊胸手術を受ける際のリスクの一つとして知って欲しい未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)について紹介します。

豊胸バッグとがんの関係性

豊胸バッグの分野では世界大3位の大手だったPIP(ポリ・アンプラン・プロテーズ)社の豊胸バッグは、体内で破損する危険性が高く、医療用ではない安価なシリコンを使用していた為、2010年に企業が倒産・製造が中止されました。

PIP社の豊胸バッグを使用していたフランス女性の数は3万人にも上り、フランス以外にも世界各国で使用されていた為、日本でも一時期大きな話題になりました。

またPIP社の豊胸バッグは発がん性が指摘されており、国立がん研究所(INCA)によると2011年以降、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)18症例に上ることが確認されています。

ただし「PIP社の豊胸バッグだから危険」という話ではなく、生理食塩水やシリコンジェルを使った豊胸手術とALCLには何らかの因果関係があることが明らかになっています。

フランスの国立がん研究所は、シリコンインプラント(人工乳房、豊胸バッグのこと)と未分化大細胞リンパ腫(ALCL)が「明確な関係性がある」と発表しており、フランスでは豊胸バッグの禁止も検討されています。

未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)とは?

未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)とは、簡単に言うと血液のガンのこと。

FDA(アメリカ食品医薬品局、日本の厚生労働省にあたる)によると、ALCLが見付かる部位はリンパ節や皮膚、骨、軟部組織、肺、肝臓などに多いです。

一方、豊胸手術を受けた患者では、豊胸バッグの挿入付近の瘢痕莢膜(はんこんきょうまく)でのALCLの発症リスクが極わずかながら上昇していたという結果も出ています。

豊胸バッグを挿入した際、体内が「異物」と判断して、コラーゲンなどの繊維組織が豊胸バッグの周囲を覆ったものを「被膜」と言います。

その被膜と豊胸バッグの間にある漿液(しょうえき)に、ALCLが見付かりやすかった……という訳です。

豊胸手術を終えて、施術部分が完治した後に「疼痛」「しこり」「膨張」「乳房の非対称」などの症状を訴えて、再来院後の検査や抜去後に分かることが大半です。

ちなみに乳がんは乳腺にできるがんなので、ALCLとは全く別物です。

国立がん研究所によると、アメリカで1年間にALCLと診断されるのは、女性の場合は500,000人に1人。一方で豊胸手術を受けていない場合、乳房組織にALCLが見付かる例は「約1億人に3人」と非常に少ないと言われます。

最後に

「豊胸手術を受けると、がんになる」と言うのは、現在発表されているデータを見る限り、非常に珍しいケースです。

フランスでは約40万人が豊胸手術を受けており、アメリカでは1年間(2014年の場合)に286,254件の美容目的での豊胸手術が行なわれています。

豊胸手術後にALCLを発症した症例は、全世界で約60例と非常に少ない(報告されていない症例もあると思いますが)ので、現在豊胸バッグを入れている人が「がんが心配だから、今すぐ抜去はすべき?」とは思わなくても大丈夫。

ただし今後、バストに何かしらの違和感を感じた場合、すぐに担当の医師と連絡を取り、検査を受けた方が良いです。

今の所、豊胸手術とALCLに関しては、豊胸バッグだけで症例が報告されているだけで、ヒアルロン酸や脂肪注入法ではほどんど聞かれません。

ただしどちらの施術法も被膜や漿液が生じる可能性はゼロではないのは、知っておいて下さい。

今後、豊胸手術を受けたいと思っている人は、ALCLへのリスクなど、きちんと担当の医師と話し合うことが大切です。

湘南美容外科クリニック
ページトップヘ