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ヒトアジュバント病は1964年に三好ら医師によって提唱された、膠原病や自己免疫性疾患と似た症状が見られる病気です。
豊胸でシリコンやパラフィンなどを直接バストに注入したことが原因で起こる病気で、現在の施術では「シリコン系異物の直接注入」は行なわれていません。
今後、豊胸手術を受ける人にはあまり縁がないと思いますが「過去の豊胸による後遺症の一例」として知っておきたい話です。
ヒトアジュバント病とは?
- 原因
- 診断・治療法
原因
豊胸術や鼻形成術(隆鼻術)など、美容整形時にシリコンやパラフィンを直接注入することで起こります。
昭和30年(1955年)頃に、ワゼリンやパラフィン、シリコンを豊胸や隆鼻目的として使用されていましたが、昭和50年(1975年)以降になると上記の注入法による施術はほとんど行なわれなくなりました。
症状
施術実施直後に発病せず、長期的に異物が体内に存在することで、膠原病(こうげんびょう)と似た症状や、また異なる症状が現れます。
症状の出方は人によって様々で、本当の膠原病との区別が難しい場合も多いです。
【ヒトアジュバント病の症状例】
- 強皮症(全身性硬化症)
- 全身性エリテマトーデス(SLE/紅斑性狼瘡)
- 関節炎
- 関節リウマチ
- 筋肉痛
- 紅斑・湿疹
- 発熱
- 皮膚筋炎
- シャーグレン症候群
- 乳房の硬化
診断・治療法
ヒトアジュバント病の発病は、多くの場合、シリコン系異物注入による豊胸手術を受けてから10年以上経ってから起こります。
28歳の時にオルカノーゲン注入による豊胸術を受けた64歳の女性の例もあります。
参照:豊胸術後に発症し特異な肺野病変を呈したサルコイドーシスの1例
レントゲン撮影などを用いた、画像診断が多く利用されています。
血液検査をすると、膠原病と同様に抗核抗体※などの自己抗体が見付かります。
各症状の原因が「昔、シリコン系注入による豊胸手術をした」ことによるものだと、症状を訴える患者さんや問診時の医師が分からないと、診断が困難なこともあります。
※抗核抗体:自分の細胞核を「異物」と判断して攻撃する抗体のこと。
原因と考えられる異物を抜去することで、症状が改善します。
ただし異物抜去だけで治ることはほとんど無いので、症状に合わせた治療を行ないます。
例えば、関節炎などの炎症は、非ステロイドやステロイドの抗炎症薬。レイノー現象は、血管拡張薬……というように。
異物が体内に分散していると、完全に取り除くのが不可能な場合も多いので、症状に合わせた治療が必要不可欠です。
膠原病と似たような症状ですが、治療の経過はヒトアジュバント病の方が比較的に良いと言われます。
現在の豊胸手術で起こる可能性は低いが……?
日本の豊胸手術の歴史を見てみると、年代ごとに使用される資材が異なることが良く分かります。
【戦後~1960年代】シリコン系注入
【1970年代以降】シリコンバッグ、生理食塩水バッグ、ハイドロジェルバッグ
【2001年以降】コヒーシブシリコンバッグ
【現在】従来の豊胸バッグ、ヒアルロン酸注入や脂肪注入
現在はシリコンやパラフィンを直接注入する豊胸術は、全く行なわれていません。
その為、ヒトアジュバント病を発病するのは「数十年前に、シリコン系などの異物を胸に直接注入した」という人に限られています。
今、豊胸手術を考えている人が、ヒトアジュバント病を発病する確率はほとんど無いといっても過言ではありません。
ただし、現代の最新美容整形でも、多くの注入系豊胸が盛んに行なわれています。
ヒトアジュバント病のような重篤な症状が起こらなくても「異物を体内に入れる」ことでのリスクは考えておくべきですね。