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生理前の胸の張り、胸が大きくなる主な原因は女性ホルモンの変化によるものです。
女性には「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」という女性ホルモンがあります。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌量はずっと一定ではなく、周期ごとに増えたり減ったりします。
エストロゲンは排卵前に分泌のピークを迎え、排卵後に急速に減ります。
そしてプロゲステロンは排卵後から次の生理までの期間に多く分泌されます。
今回、注目するのがプロゲステロン(黄体ホルモン)の方です。
プロゲステロンは妊娠を助ける役割を果たす女性ホルモンですが、それと胸の張りやバストの変化はどのような関係性があるのでしょうか?
この記事の目次
胸が大きくなる正体は「むくみ」だった!
プロゲステロンには、水分を体にため込む(保持する)性質があります。
バストと子宮は女性ホルモンに対する感受性がある部位で、プロゲステロンが乳腺に働きかけると乳腺と乳腺との間に水をため込んだ状態になります。
生理前の「胸が張る」「バストサイズが大きくなる」というのは、胸が水分でむくんでいる状態という訳ですね。
生理前のバストは20%近く増量するという文献もあるので「生理前になると、上部分がカパカパ空いていたブラジャーがぴったり合うようになる」「生理前後でバストサイズが1カップ違う」という人がいるのは、全く不思議な話ではありませんね。
胸の張りはいつから感じる?
プロゲステロンの分泌量は排卵後7日頃にピークを迎えて徐々に少なくなりますが、乳腺のむくみのピークとは数日のタイムラグがあります。
生理が始まる3~4日前から生理が始まる頃までが、胸が最も大きくなる時期で、生理が終わる頃には元のバストサイズまで戻ります。
バストアップを実感するのは「生理前の数日前から生理中」という1週間~1.5週間の短い期間に限定されています。
「最近胸が良く張るようになってきたな」と思えば、そろそろ生理が来る頃という目安にもなりますね。
胸が張らない原因とは?
プロゲステロンによるバストの周期的な変化について、説明してきましたが、中には「生理前になっても、今まで胸の張りを感じたことがない」「以前は胸が張った感があったが、今は全然無い」という人も多いのではないでしょうか?
その原因にはいくつか考えられますが、
- 本当は胸が大きくなっている(張っている)が、自覚がない
- ホルモンバランスが乱れて、プロゲステロンの分泌量が少ない
という場合が多いのではないかと思います。
本当は胸が大きくなっている(張っている)が、自覚がない
生理前後のバストの肥大化に関しては、個人差による所も大きいので、全ての女性が分かるとは限りません。
ただし単純に「自分のバストに関する感性が鈍い」という可能性も考えられます。
例えば普段からワイヤレスブラやカップ付きインナーを愛用していて、ゆるっとした格好をすることが多いのであれば、自分のバストや体型の変化には気付きにくいです。
またバストマッサージをしたり、胸をブラジャーを収め直したりする「バストを触る習慣」がないと「前よりもちょっと大きくなった?」と感じる機会も少なくなってしまいます。
プロゲステロンの分泌量が少ない
「胸が張らない」と「プロゲステロンの分泌量の減少」に関しては、黄体機能不全も知っておくと分かりやすいです。
黄体機能不全とは、プロゲステロン(黄体ホルモン)を分泌する源となる「黄体」(卵巣に有る内分泌器官)の機能が上手く働いていない状態のことです。
主な原因には以下の3通りが考えられます。
- 脳の下垂体から分泌される性腺刺激ホルモンの分泌量低下
- 子宮内膜のプロゲステロンに対する感受性の低さ
- 子宮系の疾患(卵胞発育不全、高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣症候群など)
黄体の機能が上手く働かなければ、プロゲステロンの分泌量も減ってしまいます。
その為、プロゲステロンの分泌によって起こるはずの「胸の張り」や「バストサイズが上がる」ということも無くなってしまうのです。
黄体機能不全の自覚症状としては
- 高温期が9~12日未満と極端に短い
- 高温期と低温期の基礎体温の差が「0.3℃未満」と少ない
- 高温期の途中で体温がガクッと下がる(高温を維持できない)
他にも「子宮内膜の厚さが8mm未満」や「血液検査でプロゲステロンが10ng未満」も黄体機能不全の症状ですが、こちらは産婦人科で検査してもらう必要があります。
基礎体温を付けていれば、高温期と低温期の変化が分かりやすいのですが、基礎体温を付けていない人は「胸が張る。微熱っぽさがある」などの生理前特有の症状が起こっているかどうかが、見分けるポイントになります。
黄体機能不全になると「胸が張らない」だけではなく、プロゲステロンの分泌不足で子宮内膜を妊娠に適した状態に維持できない為、生理周期が長い「稀発月経」や生理日でも無いのに出血が起こる「不正出血」、妊娠がしにくい「不妊症」の原因にもなります。
黄体機能不全の治療法としては、排卵誘発剤や絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)、プロゲステロンの服用が挙げられます。まずは産婦人科を受診して検査を受け、お医者さんの指示を受けましょう。
ホルモンバランスの乱れ自体は、一生涯で何度も起こり得ること。
その為「今の所、特に体の調子に問題はないし、妊娠希望でもない」という場合は、ホルモンバランスを整える為の取り組み※を心がけてみます。
※例:ストレスを溜めない、冷え性の改善、運動の習慣付け、規則正しい食生活など。
もちろん黄体機能不全と診断されていても「胸が張って痛い」という人も少なくないので「考えられる原因の一つ」くらいに思っておいて下さい。
まとめ
生理前や生理中に感じるバストアップ効果や胸の張りは「ホルモンの所為だから仕方ない」くらいに考えておくと良いです。
ただし似たような胸の張り感でも、以下の症状が出た時は要注意。
- 胸の張り方に左右差がある
- 普段以上に強い胸の張りがあり、高熱が出た
- 生理が終わっても胸のサイズが小さくならない
- 乳頭から分泌液が出てきた
という場合は、何かしらの病気の疑いがあります。
プロゲステロンの分泌によって起こる胸の張りではない場合は、放っておけば自然に治るものでも無いので、我慢せず産婦人科の受診をおすすめします。
女性ホルモンのバランスや分泌量は、年齢やその時期の体調によって変化するので「生理前でもバストに変化が無いのは変だ」と思う必要はありません。
中には生理前後で0.5~1サイズほど、カップサイズが異なる人も多いので「いつも着けているブラジャーが生理前になると窮屈に感じる」「生理前に試着してぴったりだったブラジャーが、いつの間にかカパカパに空いてしまった」という事態も良く起こります。
「周期によってバストサイズが変わりやすい」と自覚している人は、カップサイズが異なる2種類のブラジャーを用意して、時期によって使い分けてみると、何かとブルーに感じがちな生理前や生理中でも、過ごしやすくなるのではないでしょうか?
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